俺は無知だ もうだめだ そして死ぬ

おまえの顔面にヘッセの詩集を叩き付けてやる
(神様、俺にはリルケの詩集を読んで下さい)
目にはゲーテの詩を焼き付けて
視界をヒエロニムス・ボスの絵画ですべて覆って
口には入るだけの鯖の味噌煮と フローズン・ダイキリを詰め込んでやる


高級ベルベットの紫のソファーと 赤いカーテンの薄暗い部屋で
デヴィッド・リンチイレイザー・ヘッドと THE ALPHABETを
プロジェクターを使って カーテンに直映しして見せてやる
(神様、俺には学園を舞台にした優しいアニメを見せてください)
口に入るだけの鯖の味噌煮と フローズン・ダイキリをつめながら


スピーカーからはドヴュッシーの"海"を大音量で流し
おまえの耳にはテクニクスの密閉型ヘッドフォンで 菊地成孔のDegustation à Jazzから
"ピアノ、ウッドベース、ドラムス、トランペット、フルート、フレンチ・ホルン、
チューバ、テナー・サックス、トロンボーンによる
チャールズ・ミンガス風「カズコ・マツオ」"を
800回にわたって聴かせて続けてやる
(神様、俺にはモーツァルトの"夜の女王のアリア"を聴かせてください)
もちろん 口に入るだけの鯖の味噌煮と フローズン・ダイキリをつめながら


口に入るだけの鯖の味噌煮と フローズン・ダイキリをつめながら
口に入るだけの鯖の味噌煮と フローズン・ダイキリを詰め込んでやる
(神様、俺には口に入るだけの鯖の味噌煮と フローズン・ダイキリを詰め込んでください)


俺は無知だ もうだめだ そして死ぬ