2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

愛する物語

窒息した午後の部屋 狭い窓から覗く曇り空が部屋を満たす 本の壁 全てのページに諦めの物語が詰められている 彼はそこから一冊抜き取る、緩やかに崩れ落ちる本 仕舞われた夕暮れに息吹きをかける 忘れた過去に絡みつかれた 空のゴミ箱 捨てることを戸惑い続…

蟻の夜

弱音を小さく呟いた 放浪と頑な心は何度も裏切る信心深い宗教者だ いつでも投げ出せる今日をそれは本当かと疑う瞳自分の瞳 「どうでも良いからどうでも良いの」女の言葉は真実なのか言い逃れなのか。 未だ逢うことのない女からの賞賛を男は求める それを信じ…

ねじ曲がった蝶番を持つ娼婦に宿るパラノイアの守護神に恋する在宅勤務のワーカーホリックを妄想するある作家の構想に寄生する想像上の怪物は夜の街に蠢く恍惚と慟哭が餌であると男は信じた

死すら夢見るお前の背には 強いても誰も惹かれない 惨憺たる昨日の時間経過に 暗澹な頭を働かせるが 簡単な答えも出ない 深層を眺めようと 遁走出来ない心では 真相を見いだせない 逃走出来てもそこに自己との 闘争は無く心は 凍瘡していくだけ 完璧には凍ら…