ねじ曲がった蝶番を持つ娼婦に宿るパラノイアの守護神に恋する在宅勤務のワーカーホリックを妄想するある作家の構想に寄生する想像上の怪物は夜の街に蠢く恍惚と慟哭が餌であると男は信じた


死すら夢見るお前の背には 強いても誰も惹かれない
惨憺たる昨日の時間経過に 暗澹な頭を働かせるが 簡単な答えも出ない
深層を眺めようと 遁走出来ない心では 真相を見いだせない
逃走出来てもそこに自己との 闘争は無く心は 凍瘡していくだけ
完璧には凍らない 岩壁では通れない 紺碧に見入らない
言うべきを言葉を 沿うべき混和を 会うべき今夜を信じない


今回こそはと開墾を目指し後悔を残し悔恨する
心の残骸を拾う回路は心外を披露し疲労する
孤独を無毒と嘘ぶいて
不徳を美徳と塗り替えた
やがて やつれ やりきれぬ
捨てた粋を救い
己を折らず老いて行く


欲情するのは容易く 白状するのは軽く 頑丈な心を持たず
心象は軽く 身上は少なく 辛勝をなんとかもぎ取る
完走は難しく 伴走する者を求め 思いは乾燥していく
だが たかが 多寡を 闘わせず
今だ 忌まわしい 恣意を 知り
飽いた 愛した 遭えた 相手を
拙い 汚い 儚い
手で手を握り
還し 換える














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